誘惑~初めての男は彼氏の父~
 その腕が素肌を滑り、背中に回り強く抱き寄せられた。


 互いの体温が混ざり合い、さらに熱を帯びる。


 「こんな脱がしやすい服を着てくるなんて。わざわざ気を遣ってくれたのかな」


 紐を緩めると、たちまちのうちに曝け出された素肌。


 「キスしていい・・・?」


 あえて尋ねる意味などないのに。


 唇が胸元を離れ、顔を上げ私の口元を捜し、触れた。


 キスだけでもこんなに感じてしまい、もうどうにでも好きにしてほしくなる。


 背中に回っていた手が少しずつ下へと進み、撫でながら触れながら・・・。


 甘い刺激に思考は溶けてしまうようで、身動きが取れなくなる。


 "Please call my name・・・"


 なぜか英語で乞われる。


 「和仁さん・・・」


 ちょうど私の顔の前にあった、和仁さんの耳元に囁きかける。


 乞われた通り、その名を口にしながら。


 「理恵、もっとそばにおいで」


 さらに強引に抱き寄せられる。


 「こんなにそばにいるのに。これ以上どうやって」


 「もっとそばで感じさせて」


 「もうだめ・・・」


 心と体とがうらはらな言葉が出る。


 このまま溶け合って、一つになってしまいたいのに。


 体の奥から、この人を求めてやまないのに。
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