誘惑~初めての男は彼氏の父~
 「就職活動は、しなくていいよ。卒業したらすぐにでも・・・俺のところに来て」


 そう告げられた後、引き寄せられ腕の中に閉じ込められた。


 「一生、理恵のことは大切にするから」


 「ありがとう・・・」


 そうとしか答えられなかった。


 それから求められるままに体を重ね、感じているふりをした。


 ・・・体の痛みよりも、胸が痛い。


 結局最後まで裏切り続けたという罪悪感。


 こうして佑典の腕の中で時を重ねるのは、いったいあと何度・・・。


 「理恵。いい?」


 一つになり、そして・・・。


 これからというその瞬間だった。


 ♪♪♪♪♪!


 突然、佑典の携帯電話が鳴り響き始めた。


 「!」


 互いの体を貪ることに熱中していた私たちは、飛び上がりそうなくらいに驚いた。


 最初は着信メロディなど無視して、そのまま繋がっていようと思ったけれど。


 音が段々高くなり、大音響と化してきたので、集中できなくなった。


 「・・・電源、入ったままだったの?」


 ムードをぶち壊す原因を作った佑典を、思わず私は責めてしまった。


 「ごめん。理恵に夢中で忘れてた」


 ついに私から離れて佑典は、電話を取りにソファーのほうへと向かった。
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