誘惑~初めての男は彼氏の父~
 「ほんと、邪魔されたね」


 佑典は私を見つめながら苦笑する。


 ムード最高潮のところで邪魔が入ったので、どう再開したものか途方に暮れている。


 「佑典」


 私のほうから抱きついた。


 先ほどまで燃えるようだった互いの肌が、夜の寒さで冷たくなってしまっている。


 「ごめん。俺が最初からちゃんと電源オフにしていれば、こんなことにならなかったね」


 佑典は私の髪を撫でてくれた。


 「いいの。たまには私のほうから・・・させて」


 「理恵?」


 包まっていたタオルケットに佑典をも包み込み、唇を重ねた。


 そのまま身を寄せて、ベッドに倒れこむように寄り添った。


 「卒業したら、海に隔てられてなかなか会えなくなるから・・・。理恵を忘れてしまわないようにもっと刻み付けて」


 「分かった・・・」


 さっきの続きを始めた。


 今度は私のほうから体を重ねて・・・。


 「理恵さえいれば、何も要らないよ」


 すぐに先ほどのような甘い感覚を取り戻して、佑典は私の耳元で愛を囁く。


 「早く一緒になって、毎晩こうしていたい・・・」


 卒業まであとわずか。


 それを思うと切なくなるので、佑典は一年後に想いを馳せている。


 その頃私は・・・。
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