誘惑~初めての男は彼氏の父~
 「・・・あ」


 たっぷり露天風呂に浸かって、室内に戻ると。


 和仁さんは疲れたのか、携帯の画面を開いたまま眠りに落ちていた。


 向かう途中、札幌から高速に乗ったのだけど、登別を過ぎた辺りの標高の高い地域ではずっと吹雪いていた。


 通算250キロ以上、吹雪に見舞われたりしたので、ハードな運転だったためかなり過酷だったのだろう。


 「おやすみなさい・・・」


 そっと頬にキスをして、私も隣に潜り込んだ。


 布団を掛け直し、ぬくもりが夜の寒さに奪われてしまわないように。


 ・・・今頃佑典は、常夏の南国で夜を迎えている。


 時差を考慮しても、向こうもすでに夜の闇に包まれているだろう。


 赴任前の下準備、新居の片付けなどもあって、二週間ほど帰ってこない。


 その隙に私は和仁さんと・・・。


 さっきまで甘く抱かれていた記憶を辿りながら、私もゆっくりと眠りに落ちていった。
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