誘惑~初めての男は彼氏の父~
 「お前は善意のつもりかもしれないけど、いったん既成事実ができてしまえば、もう打ち消すことは不可能になる。お前は理恵ちゃんを裏切って、この子と一夜の過ちを犯したってみなされることになる」


 「そんな・・・」


 佑典はただの親切心で内村さんをここまで連れてきたようで、下心は微塵も存在しなかったらしい。


 内村さんの作戦に、まんまと乗せられているとはつゆ知らず。


 そして万が一佑典が私を裏切り、他の女に手を出してくれたとしたら・・・。


 和仁さんには絶好の口実となる。


 私が被害者となり、佑典と別れることができるだけではなく。


 傷心の私を慰めたのをきっかけに・・・との口実で、私との関係を公にすることも可能となる。


 だけど和仁さんは、そんな策略を選択しなかった。


 まず件の内村さんを、気に入らなかったというのが多い。


 佑典を騙して既成事実を作り上げ、恋人の座を私から奪い取ろうとしたこの子を、和仁さんは生理的に受け付けなかった。


 たとえ自分にとって不利なことになろうとも、内村さんが佑典にこれ以上近づくのを阻止しようとした。
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