誘惑~初めての男は彼氏の父~
 「また疑ってるね」


 再度心の奥を見透かされていた。


 「じゃ、これ渡すから何か買ってきなよ。僕は濃い系のお茶がいい。メーカーはどこでも」


 五百円玉を一枚渡された。


 車の中ではペットボトルのほうがいいかなと判断し、和仁さんに頼まれた分と自分の麦茶との二本購入。


 会計を済ませてコンビニを出て、車へと戻った。


 駐車場から店内まで、ほんのちょっと歩いただけなのに。


 未だに気温は25度以上あるので、少し動いただけでも汗が出てくる。


 それゆえ喉が渇く。


 「もう少しで海岸だ」


 再び車は動き出した。


 寂れた地域なのか、夜のせいか、辺りは真っ暗。


 人の気配などもちろんない。


 少なくとも観光地とか、人が多数行き交うような場所ではない。


 車はさらに進み続け、細い道へと入っていった。


 周囲は砂丘で囲まれている。


 近くに塔のようなものが見えた。


 灯台?


 てっぺん付近がぼんやりと光っている。
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