いちごみるく
雨が冷たい。
ああ…
神様って優しいな…
泣けない私の代わりに
涙を流してくれてる。
《村ちゃんって同棲してるんだってさぁ》
誕生日に貰ったグレープフルーツ味の飴を、お気に入りのポーチにしまっているとき、
一緒に下校している由衣が言った。
『え…』
『隣りのクラスのあすか分かる?』
『…うん。』
あすかは、中等部から入ってきた内部生で、ずっと村ちゃんに片思いをしている。
『あすかが、こないだパルコで見掛けたらしいよ。彼女。』
『へぇ。』
好きって気付いて日に、
その瞬間に、
失恋かぁ。
涙は出ない。
笑えてくるよ。
『同棲かぁ』
『ん?なに?』
隣りにいる由衣に聞こえるか聞こえないかの声でつぶやいた。
『ばっかみたい。』
先生なんか好きになって…
ばっかみたい。