キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
 

……でも、コタロウの姿はどこにもなかった。


「待って……、じゃあ、やっぱり、さっき見えたのはコタロウ、なの……?」


体中の力が抜けてしまうように、私はその場にぺたりと座り込んでしまった。

待って、落ち着かなきゃ。

本当に部屋の中にコタロウはいないの?

探し足りないんじゃない?

私は何も考えられなくなってしまって真っ白な頭のまま、再びコタロウの名前を呼びながら部屋の中を探し始める。


「コタ?出ておいで?コタロウ……、ねぇ、コタ……っ?」


気付けば、ぼろぼろと涙をこぼしながら、コタロウの名前を必死に呼んでいた。

何度も名前を呼んで。

何度もいろんなところを見て。

……でも、やっぱりコタロウの姿はなかった。


「やだ、コタロウ……っ!」


家の中にコタロウがいないとようやく悟った私は、ふらふらと家を出る。

コタロウは外に出て行ってしまったんだとようやく認めて。



「コタロウ……っ!?コタぁ……っ!」


必死だった。

アパートの周りにいないか、陰に隠れていないかを目を凝らして見て回りながら、コタロウの名前を呼ぶ。

足ががくがくになっていたけど、私は全く気付かないまま、躓きそうになりながらも足を動かしていた。

枯れてしまうくらいの声を張り上げていた。

人がいれば、ネコを見なかったか訊ねた。

とにかくアパートの周辺の道を走り回った。

……その行動を私は全部無意識のうちにしていた。

 
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