キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
 

「コタ!?」


私は慌てて家のドアを閉めて、外に目を移す。

そこに一瞬見えたのは、ネコのしっぽのようなものが階段の方に消えていく光景だった。

待って、今の、何?

コタロウだった?本当に?

私はばたばたとアパートの廊下を走って、階段の方に行ってみたけど、目に映るものはいつもと同じ、家が立ち並ぶ風景だけ。

ネコの姿なんて目に映らなかった。

階段の下まで下りて周りを見てみるけど、やっぱり同じだった。

気のせいだったのだろうか。……うん、きっと気のせいだ。

雷の光に目が眩んで、足元を何かが通ったように見えただけ。

リビングのドアが開いて見えたのも、気のせい。

そう必死に自分に言い聞かせながら、私はドキドキとしている心臓と不安を抱えながら、家に戻る。

そっと、家のドアを開いた。


「!!」


私の目に映ったのは、リビングのドアが開いた光景だった。

私はこけそうになりながら靴を脱いで慌てて家の中に入り、コタロウの名前を呼ぶ。

いつものように絶対にそこにコタロウがいる、と信じて。


「コタロウ?コタロウ!?」


リビングにはいない。

キャットウォーク、キャットタワー、寝室。

ベッドの中。

ベッドの下。

クローゼットの中やテーブルの下。

ネコベッドや部屋に置いている箱の中、おもちゃトンネルの中。

普段は入れなくしているキッチンや洗面所も全て、コタロウの名前を呼びながら家中をくまなく見回った。

 
< 99 / 257 >

この作品をシェア

pagetop