キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
「コタ!?」
私は慌てて家のドアを閉めて、外に目を移す。
そこに一瞬見えたのは、ネコのしっぽのようなものが階段の方に消えていく光景だった。
待って、今の、何?
コタロウだった?本当に?
私はばたばたとアパートの廊下を走って、階段の方に行ってみたけど、目に映るものはいつもと同じ、家が立ち並ぶ風景だけ。
ネコの姿なんて目に映らなかった。
階段の下まで下りて周りを見てみるけど、やっぱり同じだった。
気のせいだったのだろうか。……うん、きっと気のせいだ。
雷の光に目が眩んで、足元を何かが通ったように見えただけ。
リビングのドアが開いて見えたのも、気のせい。
そう必死に自分に言い聞かせながら、私はドキドキとしている心臓と不安を抱えながら、家に戻る。
そっと、家のドアを開いた。
「!!」
私の目に映ったのは、リビングのドアが開いた光景だった。
私はこけそうになりながら靴を脱いで慌てて家の中に入り、コタロウの名前を呼ぶ。
いつものように絶対にそこにコタロウがいる、と信じて。
「コタロウ?コタロウ!?」
リビングにはいない。
キャットウォーク、キャットタワー、寝室。
ベッドの中。
ベッドの下。
クローゼットの中やテーブルの下。
ネコベッドや部屋に置いている箱の中、おもちゃトンネルの中。
普段は入れなくしているキッチンや洗面所も全て、コタロウの名前を呼びながら家中をくまなく見回った。