キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
 

「……そういうことなんですよ?」

「!」

「私が誰のことを言っているのかわかりますよね?」


真っ直ぐ私を貫くように、西岡さんが私を見る。

その瞳は私をとらえて離さない。

……やっぱり、西岡さんが言っているのは虎谷先生のことなんだ。

そう確信すると、心臓がきゅっと締め付けられる感覚がした。

……苦しい。

でも、西岡さんはわざわざ何でこんなに回りくどい言い方をしてくるの……?


「ごめんなさい……」

「え……?」

「坂本さんは大切な患者さんだし、本当はこんなこと言いたくなかったんですけど……お願いします。病院以外では彼に近付かないでもらえませんか?」

「……あ、あの」

「彼は優しいから勘違いする方も多いんだけど……優しくするのは患者さんだから、なんです。……土曜日に公園に行くのも、ただネコが大好きでコタロウくんと遊びたいから、という理由なだけ」


そういうことか、と気付く。

西岡さんは私と先生が土曜日に公園で会っていることも、その後私の家でコタロウと遊んでいることも知っているんだ……。

さっき言ってた“どこかのネコちゃん”というのも、きっとコタロウのことだろう。

土曜日に虎谷先生と公園で会っている時は西岡さんに会うことはなかったけど、どうやって知ったのだろうか?

先生が伝えていた?

いや、偶然見られてしまったとも考えられる。

……それだけ私は先生のことでいっぱいで、周りが見えなくなっていたのかもしれない。

 
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