キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
彼女がいるどうかはわからないけど、結婚していないことがわかったことだけでも、かなりの進歩だ。
さすがに不倫なんて疑いを掛けられるのはマズイし。
自分で聞き出せたわけじゃなくて、完全に“棚からぼたもち”状態ではあるけど、かなりホッとした。
あとは彼女がいるかどうかだけど……聞くなら、今がチャンスなのだろうか?
流れ的にも……変ではない、よね?
ごくりと唾を飲み込んで、私は思い切って口を開く。
「……」
……けど、頭の中で思い浮かべた質問は、言葉になることはなかった。
やっぱり聞けない……!私のヘタレ~!
自分のヘタレっぷりを悔やんでいると、虎谷先生からまさかの質問が飛んできた。
「あれ?でも、坂本さんって彼氏いるんじゃないの?」
「……はいぃっ!?」
「いや、いつかの日曜だったかな。見かけたからさ。男と歩いてるところ」
「えぇ?」
心臓がバクバクなるのを感じながら、何のことだろう?と私は首を捻って必死に考える。
男と歩いてた?
彼氏もいないのに、そんなことあるはず……
その時はっと思い出した。
日曜……ってことは。
そうだ、璃世の家に行った時の話!?
「かっ、勘違いです!あの人は友達の旦那さんで!」
「え、不倫?」
「なっ!バカなこと言わないでくださいっ!そんなわけないでしょう!?あの日は友達の家に遊びに行ったんです!その帰りに伊野局長が買い物に行くからって、途中まで一緒に歩いてただけですから!それに、伊野局長はただの仕事の上司で!ただ、それだけです!!何の関係もありませんっ!」
「不倫」という言葉が飛び出してきてものすごく焦った私は、拳を握り締めて必死に否定する。
あまりの勢いに虎谷先生だけではなくコタロウまでもが遊ぶのをやめて、丸い目をして私のことをじっと見ている。
一気にしゃべったせいで息が上がってしまった私は、ぜいぜいと息を整える。