囚われる心と体
「今日の晩飯、奢るよ」
私のデスク脇に座り込み顎だけをデスクの上に乗せて目だけキョロキョロさせて喋る高梨。
「当たり前でしょ。高いもの食べてやるから覚悟しなさい」
すると、その様子を黙って見ていた腹黒王子の口からブリザードが吐き出された。
「実に楽しそうな話だね。俺も行っていいかな」
「は?」
思わず口から素直な反応が出てしまう。冗談じゃない。なんでアフター5までこの男と一緒に過ごさなきゃいけないんだ。
「いいですよ。みんなで行きましょうよ」
「ちょっと、高梨っ」
「それは有難い。楽しみにしてるよ、石原さん」
去り際に胡散臭い綺麗な微笑みを向けて戻って行った。それから私が高梨の首を締め上げたのは言うまでもない。紗耶香が止めてくれなかったら息の根は確実に止まっていたと思う。
悲壮感を漂わせている私を見かねて紗耶香は自分も行くと言ってくれた。さすが女神紗耶香さま!
その紗耶香の言葉に便乗するように経理部の女子社員ほとんどが参加したいと騒ぎ出した。高梨と相談した結果、みんな割り勘で行こうという事で決着。こんな大事になるなんて。