彼のヒーローヴォイス

「香坂さん、あなたのジュリエット、拝見しました。

とても素晴らしかったわ。 
私、回りくどいことは言わない主義なの。 

香坂さん、ぜひウチの事務所へ入ってもらえませんか?」


え? 事務所…?

驚いた…。 
何かの勧誘かとは思ったけど、まさか、まさかのスカウトだったなんて!


ヤバい、めっちゃ心臓が速くなってきちゃった…。


「わが事務所は、俳優、女優はもちろん モデル、声優などを育て排出してます。
今度、ウチの事務所が20周年を迎えるから、男女問わないユニットを結成予定で、
15歳から20歳くらいまでの年齢の新人を探してるってワケなんです。

香坂さん、私たちに力を貸してください お願いします」


こんなただの高校生の私に向かい、深々と頭を下げる、専務さんとマネージャーさん。
最初に思った印象とは全く違う専務さんに私は好意を持った…。


「あの、頭を…あげてください。」


専務さんの腕にそっと触れて言った。


「私、まだ未成年ですし…詳しいことがまだわかりませんので…
あ、でも、私に目を向けてくださったこと、感謝します。
私もとても興味があるので、一度、ゆっくりお話聞かせてほしいです」


こんな未成年の話を目を見てきちんと聞いてくれた二人の大人。
私の言葉を受け入れ、私の都合が付いたら、親と一緒に事務所へ行く約束をした。


俗にいう『スカウト』…が私の元にやってきた。

思ってもみなかったことに、かなり舞い上がってる私がいた。


「あ、純一に、伝えないと!」


真っ先に浮かんだ純一の顔を思い出し、寮への道を急いだ。
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