彼のヒーローヴォイス
取材が終わり、事務所に戻って
純一をマンションまで送るため、
2人で地下駐車場にむかう。
手に持っていた
白のハイブリッド車のキーロックボタンを押そうとした時
純一に
その手を掴まれ、駐車スペースの奥の壁に体ごと押された。
「えっと… 純一?」
冷たいコンクリートに背中と掴まれた腕を押し付けられて、
純一の顔が目の前にある…
あ、えっと、コレは、一体…
「ご褒美…」
え…
こ、この状況って…
まさ、まさか……。
純一の顔が近づいてきて……
てっきり、キスされる、のかと思い
ギュッと目を瞑ると…。
「怜、メシ、作って」
耳元に吐息とともに吐き出された声。
な、なんだ……。
ホッとするのと、少し淋しいのと
入り混じった複雑な気持ちに
胸がギュッとなった。
平気な顔で、助手席に乗り込んだ純一。
続いて私も運転席に座ると、
「ハンバーグ食いたい よろしく」
リクエストして、座席を後ろに倒し、純一は、目を閉じた。