強がりあいっこ。
後部座席でぐったりとする奈々をミラーで気にしつつ、
俺が走らせる車は
アパートの駐車場に着いた。
「掴まって」
素直に俺にしがみついてくる奈々。
弱々しく俺の首に回された腕は
いつもより細く感じた。
奈々を抱えて部屋に入る。
とりあえず、
体を楽にするため、サイズがピッタリの仕事着は緩めた方がいい。
「服緩めるよ?」
奈々をベットに寝かせ、
そう言ってブラウスのボタンに手をかけると、
「やっ…」
身をよじって、奈々は抵抗した。
「奈々、わがままいってる場合じゃないから」
それでも奈々は首を振る。
「はずかしいの?」
こくん。と頷いた。
だけど、
ほんとにそんなこと言ってる場合じゃないんだよ。
奈々の顔色は先ほどより悪化しているようだ。
「ちょっと緩めるだけだから」
もう一度言い聞かせるように言うと、
奈々は観念したように、
大人しくなった。