強がりあいっこ。
診察室に向かう途中、
ナースステーションを通り過ぎる。
「おはようございます」
「おはよう」
パラパラと挨拶してくる中に
俺と同期の看護師、吉原がいた。
「夜勤明けで今日も朝から?」
彼女も朝から忙しそうにカルテの束を振り分けていた。
「まぁな」
「あなたも相変わらず忙しいわね。
ちゃんと奈々ちゃんのお相手もしてあげないと、そのうち逃げられるわよ?」
奈々とも面識がある吉原。
俺を見ると何かと言ってくる。
余計なお世話だ。
そう言い返したところで
吉原はカルテの振り分けを終え、
わざとひたいを拭うふりをして言った。
「最近梅雨も明けて暑くなってきたわね。また病人が増えてくるわ」
確かに最近、
7月に入って気温が上がってきていた。
暑さに慣れていない人が
軽く熱中症などにかかりやすい時期。