殺人鬼械の痛み





数学の教師は起きた春奈を見て、不敵そうに笑った。
しかし、春奈は教師の想像を上回っていた。春奈は何気なく黒板を見て、


「459です」


と、簡単そうに即答したのだ。


「計算、速っ!」

「転校生、凄いねー」


春奈の計算の速さに、騒然となるクラス。


「計算速いんだね。でも授業中は寝ないでね」


教師は春奈の計算の速さに驚きつつ、苦笑して春奈に釘を刺した。




その日の体育の授業は、プールだった。
準備運動をしていた静華は、ジャージ姿の春奈が、プールサイドの端に座って、授業を見学しているのを見かけた。
その日は見学しているのが春奈だけだった所為もあって、静華にはそれが異様に目立って見えた。




その日の夜、浩平の研究室に、浩平と春奈は居た。
丸椅子に、向かい合って座っている二人。


「……で、今日一日の生活はどうだったかい?」


浩平の質問に少し考えた春奈は、暫くして口を開いた。


「……今日は同じクラスの人に、沢山質問されました」


その春奈の答えに、笑顔で満足そうに頷く浩平。


「そうかいそうかい。で?」

「だけど、多くの質問に答えられなかった」


春奈の否定的な言葉に、真顔になる浩平。





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