殺人鬼械の痛み





「そうか……。どんな質問に答えられなかった?」

「得意科目とか……、好きな食べ物とか……」


春奈が真面目に返してきた答えを聞いて、浩平は点きっぱなしになっていたパソコンの液晶画面を覗き込む。
液晶画面の数字の羅列を見て、浩平は頷いた。


「ああ、そうか……。……分かった、教えてくれてありがとう、春奈」

「はい、おやすみなさい」


そう言って、春奈は立ち上がり、研究室を出て行った。
その後ろ姿に、浩平は優しく、


「おやすみなさい、春奈」


と、声をかけた。




同じ頃。
静華は自分の部屋で、押し入れから小さい頃のアルバムを引っ張り出し、ページをめくっていた。

静華が開いた最初のページには、生まれて間もない静華が、赤ん坊だった浩太と一緒に写った写真が貼られていた。
静華がそのままアルバムを何ページかめくると、遊園地の入り口で浩太と静華が笑っている写真が貼られていた。
静華はそれからもページをめくってみるが、その後のページには浩太が写った写真は一枚も貼られてない。

静華は、遊園地の入口での写真を見つめていて、その写真が八年前の遊園地の殺戮事故の直前に撮られた写真だと思い出した。





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