サヨナラからはじめよう
ポタッポタッ
次から次に落ちてくる水滴で紙面が濡れていく。
「・・・バカじゃない?全国紙で何恥ずかしいこと言ってんのよっ・・・!」
滲んだ視界ではもう何も見えなくなってしまった。
足元に雑誌が滑り落ちたことにも気付かずに、私は声を上げて泣いた。
『涼子、俺夢があるんだ』
『何?』
『いつか俺が設計した家のインテリアを涼子にデザインしてもらうこと。そうやって二人で理想の家を造り上げるんだ。これって究極の「和」だと思わないか?』
『ぷぷっ、相変わらずキザ~!・・・でも凄く素敵!夢がある!』
『夢なんかで終わらせないよ。近い将来絶対その夢を叶えてみせるから。だから待ってて』
『うん・・・!』
そんな夢と希望に満ちた二人の思い出が、
波のように一気に溢れ出していた_____