サヨナラからはじめよう
心を見つめてください



朝、真っ先に鏡に映った自分の顔を見る。
明らかに寝不足だとわかるほどはっきりとクマができていた。
今日こそはちゃんと寝ずに映画を見ると宣言しておきながら、こんな顔で行ったら中村君にまた余計な心配をかけてしまう。

「・・・今日のメイクは盛り盛りでいかないと駄目だな・・・」

はぁ~っと大きな溜息をついて不細工な自分と向き合った。




昨日、あれから泣くだけ泣いた後、今日に備えて寝ようとした。
でもどんなに疲れていても、泣きすぎて瞼が重くとも、結局一睡もできなかった。
ずっとあいつの言葉が頭の中を巡っていた。


二人で誓った夢。


あの時は真剣にその夢を叶えようと思っていた。
辛いことがあっても、まだあいつのことを信じていた。
夢を語る司の目も真剣だったから。
でも私はその夢を叶えることなく逃げ出した。
あいつを信じることができなかった。

自分のとった行動に後悔はない。
あの時は私にとってももう限界だったのだから。
< 197 / 280 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop