サヨナラからはじめよう
・・・でも、司はずっとあの夢を追っている。
あのインタビューは4ヶ月ほど前のものだった。
とっくに私とは別れてもう2年以上も会っていないというのに、
一体どんな思いであんなことを言ったのだろうか。



・・・・何故彼はあの日このマンションの前にいたのだろうか?



思考が振り出しに戻ったところで首を振った。
今考えたところで何もわかりようがない。

「・・・よし、気合い入れて化けるぞ」

こんなに丁寧にメイクをしたのは生まれて初めてなんじゃないかと思うほど時間をかけて全てを終えると、気付けば約束の時間が迫っていた。

「やっば・・・!」

慌ててクローゼットからコートを引っ張り出した拍子に、奥に入れてあった物がいくつか一緒に押し出されそのまま落下してしまった。焦りながら目をやると、その中に青い封筒が目に入った。
その瞬間心臓がドクンと脈打つ。

青い封筒と昨日の記事が頭の中を駆け巡る。

「・・・駄目駄目っ!!」

必死でそれらを頭から追い出すと、それに触れることもせずに急いで家を後にした。
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