好きになったわけ

「あの……大丈夫ですか?」

oh……質問の一発目がこれとは。多分さっき変な声を挙げたからだろう。大丈夫です、怪しい者じゃありません。そっちかよ。

「ああ、すみません。少し驚いちゃっただけです。……えーっと、僕に何か用ですか?」

言いつつ僕は振り返る。
とそこには…………美少女がいた。

「え……………………」

思わず口に出してしまった。だってさっき僕が美少女とひょんな事で出逢ったりなんて妄想してたばかりなのだ。これは誰でも驚く……と思う。

「あの……大丈夫ですか?」

同じ質問をされてしまった。が、回答は違うかもしれない。

大丈夫じゃない

細身で華奢な体躯。顔はまるで人形のように整っており、顔の大きさに合わせたように、各パーツが違和感無く収まっている。髪は見るからに艶のある黒髪のセミロング。間違いない、美少女だ、うん。

「え、あ、はい。大丈夫です。ちょっと考え事をしてたもので」

一応、大丈夫ですと言っておいた。全然心は大丈夫じゃないけど。

< 5 / 17 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop