天然ダイヤとイミテーション・ビューティー ~宝石王子とあたしの秘密~
エメラルドな事件
 それから数日後。
 私と詩織ちゃんは、店舗に立ちながら栄子主任の様子をチラチラと気にかけていた。

「ううーー……」
「栄子主任、大丈夫ですか?」
「ううぅーー……」

 お腹を押さえる栄子主任の顔色が悪い。今日はアレの二日目だそうで。

「まいっちゃうわ。薬を飲んだんだけど、ちょっとタイミングがずれたみたい」
「かなり重そうですね?」
「なんかね、ここ数年で急に重くなってきたのよ。閉経へ向けてのラストスパートかしら」
「いや、主任、ラストスパートってまだ若いですし」
「もうあがっても構わないわ。なのに毎月毎月、まるでローンの催促みたいにキッチリくるのよ。まだ残ってるのかと思うとイラッとするわ」

 栄子主任はお腹を押さえて、また唸り出した。

「うおぉー。あ、ドッと来た来た来た!」
「栄子主任、どうぞトイレに行って下さい! 営業時間の終了まであと五分ですから!」
「ごめん! そうさせてもらうわ!」

 そう言ってヘッピリ腰でトイレに向かう姿を、詩織ちゃんとふたりで見送った。
 急げ頑張れ栄子主任ー! 
< 37 / 187 >

この作品をシェア

pagetop