地球を守って!恋するヒーロー
たしかに絶望的な状況。

はぁ......。
もうため息しか出てこないよ。


それもこれも全部、犯罪組織なんてものを作ったあのリーダーのせいだ。

優しそうな振りして、実は悪い人っていうのが一番たちが悪い。



「ここから出してよ......。

なんで犯罪組織なんて入ったの。
真っ当に生きなきゃ、いつか絶対にバチが当たるんだから」



泣き言を言っても仕方ないけど、不安な状況が続き、もう心細くて心細くて泣きそう。


様子を見に来る男の人たちに、私は不満をぶつける。

......通じてないけど。



「真っ当に生きたくても、そうはできない人もいるのよ。

生まれながらに貧しくて、学校にも通えない。
学もないから、職にもつけない。
残された道は犯罪に手を染めるだけ。

犯罪者にも、何か理由があるのかもしれないわよ。あなたには分からないでしょうけど」



通じないと分かっているのに、ついに愚痴を言い出した私を、リンレイは呆れたように見る。


......。
ネリの村のことを思い出す。
貧しくて、奪い合わなければ、明日をも生きられない村のことを。


理由があったって、犯罪はいけないこと、許されないことだ。

でも、そうしなければ生きていけない人たちがいる。



< 153 / 303 >

この作品をシェア

pagetop