地球を守って!恋するヒーロー
だけど、同じ恵まれない環境でも犯罪を犯さずがんばってる人もいる。

ネリだって犯罪者にならず、自らいばらのみちを選んで、必死にがんばってる。


やっぱり自分が苦しいからって、人を苦しめるのには賛成できないし、同情もできない。

その考えは変わらない。


でも......。
なんだかモヤモヤしたものが、胸の中を覆っていく。

貧困の村、奪い合い、犯罪組織。


見たくもない、知りたくもない世界のドロドロとした闇をはっきりと見せつけられて、これがたしかに現実なんだと思うと嫌になる。


特別お金持ちなわけじゃなかったけど、特別貧乏なわけでもなく、何不自由なく育った私。


学校に行くのがめんどくさい。
宿題が多すぎる。
テストの点が悪かった。

そんなことで大騒ぎしていた毎日はどれだけ幸せだったんだろう。



「リンレイも、何か犯罪者にならなければいけない理由があったの......?」


「うふふ、変わってるわね。
私のことが知りたいの?」


「まぁ......それで少しでも理解できるなら......」



一応目的も同じ、同じ敵と戦う仲間だと言うのに、今のままだと一ミリも理解できないまま。

このままだと、ずっと警戒しなきゃいけない。


勇気を出して聞いてみると。

リンレイは異性を虜にするその目を妖しく光らせながら、真っ赤に塗られた唇をゆっくりと開く。
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