恋ごころトルク
 先生1人につき生徒1人の「1人教習」から成長して「2人教習」になった。もうまとめの時期なので、今日みみたいに「課題、やっといてくださいね」と言われることもある。この間は、クランク~スラローム~一本橋~S字~急制動をずっとやっていた。


 発着点に1人でバイクを動かして、後方確認でエンジン始動、乗車からの一連の動作。なんか、ネットで調べたら「確認!」って言えって書いてあったな。先生に印象良いってことらしいんだけど。

 ゆっくり走り出し、最初のカーブを曲がったならすぐ右折で交差点進入だ。交差点の信号機が赤。青信号に変わったら左右確認して発進だ。

 最初の頃は、信号で止まったら発進の度にエンストしてたっけな……いまでは10回のうち8回はエンストしないもの。

 赤信号が滲んで見える。涙が出てしまう。ああ、うるさい。集中しなくちゃいけないんだから。こんなんじゃ危ないし、失敗すると時間の無駄だ。
走っていて思う。あたしの精神的ダメージは、思ったより酷かったということを。

 日頃、コース図をあちこち貼って覚えているからか、結構走れる。コースを間違えることは卒検で減点にはならないそうだ。ただ、コースアウトして元に戻ってる間も採点対象だから、人より時間も体力も使うってことだ。できればコースを間違えないで走りたい。

 今日1日、この教習を乗り越えて、あと帰って休もう……まだ終わってないけど疲れたよ。

 何週走ったのか数えていないけれど、ぐるぐる走って、1コースを2回走ってしまったりしながら、コース練習を終えた。コースを間違えても、バックやUターンはできないんだよね。いまはまだ練習だからそのまま走ってしまうか、あとは間違えた地点まで、ぐるっと回って戻るって感じ。

 残り10分程、先生がクランクを見てくれて、本日の教習は終了。

 教習を終えて、本日の反省と復習。こういうのも卒業したらやらなくなるんだなぁ。先生の言葉もしっかり聞きましょうっていう気持ちになる。

「次、見極めね。左折が大曲りなのと、スラロームが少し時間かかりすぎだね。精度上げて行きましょう」

「お疲れ様でしたー」
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