【完結】Re-love 〜二度目の恋はあなたと〜
「勘弁してくれよ・・・」
健一は、ベンチに座り、吐き気に頭を抱え青白い顔をしていた。
「まさか、あんたが絶叫マシーンが苦手なんてね。苦手なら言ってくれたらよかったのに」
「・・・・・・」
―――よく言うよ・・・。
有無も言わさず連れていったのは杏子だったが、健一は何も言うことはできなかった。
健一がダウンしている横で、杏子は平気な顔をしていた。
―――あぁ、気持ちわるっ・・・。
「でもさ、あんたの今の姿を見たら、ファンの女の子達は幻滅するで」
杏子は、嫌味を含めて健一に言った。
「あんな奴ら、外見だけで寄って来てるだけやし」
「あっそ」
杏子は、健一の態度が気に入らっず、素っ気ない返事をした。
そんな杏子の態度に健一は苦笑いするしかなかった。
―――そりゃそうだよな・・・でも、こんな風に言う理由があるんだ。
「人を見た目で判断する人間にろくな奴はいない・・・」
健一は、自分に言い聞かせるように言った。
―――お前だってあの時・・・。
健一は、苦い過去を思い出しかけたが、引き出しの奥にしまいこんだ。
「そうやね。人は見た目で判断したらあかんって、私もおばあちゃんに言われてるよ・・・」
杏子はそう言うと、最後に健一の方を向いてニッコリと笑みを与えた。
健一は、こんな笑顔、再会してから初めて見たな、なんて妙に冷静な考えが頭を過ぎっていた。
「そっか・・・」
―――ならあの時なんで・・・?俺はどれだけ傷付いたことか・・・あんなことがあっても、お前のことを忘れられず・・・お前は俺に気付いてもないし・・・。
二人の間に沈黙が続いた。
「なぁ、この前は変なこと言ってごめん」
健一は、ずっと言いたかった言葉を伝えた。
「あぁ・・・もういいよ・・・」
「許してくれるんか?」
「・・・あれに乗ったらね!」
そう言って杏子が指差したのは、最近できたばかりの日本最高時速が出るという絶叫マシーンだった。
「えっ・・・」
健一は、一目見ただけで血の気が引いていくのがわかった。
「行くで!」
杏子は健一の腕を引っ張り、目的地まで一直線に向かった。
―――死ぬ・・・助けてくれ・・・。
健一の心の声は、誰にも届くことはなかった。