図書館からはじまる



家が近づくにつれて、まだ一緒にいたい。


もう少し手を繋いでいたいという気持ちが出てきた。


「もう少し一緒にいたい」


「え?」


「そこの公園で座らない?」


家の近くの公園のベンチに座った。


座っても手は繋いだままだった。


「なぁ、のっぽさんは俺のことどう思う?」


「ど、どう思うって言われても…」


「好き?……嫌い?」


え?そんなこと…


好きに決まってる…


でも…


「か、彼女いますよね?」


声が震えて、小さい声になった。


「前はね…」


「え、だって有紗さんは?」


「別れたよ。一ヶ月前ぐらいに」


え?本当に?


「本当の本当に?」


「ああ」


「でも、あの時女の人と腕組んで歩いてましたよね?」


「あぁ、あれは保の妹で、保の親父さんの誕生日会に誘われてたんだ。駅で偶然あゆみに会ったんだ。妹の名前ね。毎年盛大にするんだ。」


彼女と別れて、更に以前腕を組んで歩いていた人は、保さんの妹…


「誤解とけた?嬉しいな、気にしてくれてたんだ」


「…」


よかった…


その瞬間目の前が真っ暗になった。


え?


キス?


された…



< 106 / 145 >

この作品をシェア

pagetop