図書館からはじまる



また、後ろから声を掛けられた。


今度こそは、太田さんだ。


私は、ゆっくり振り返った。


「どうしてここにのっぽさんがいるの?」


太田さんは、不思議そうな顔をしていた。


「あ、あの〜き、昨日は失礼なことを言ってしまい本当に申し訳ありませんでした」


「あぁ、昨日のね…俺、あの後すごい凹んでさ、どうにかなっちゃいそうだったよ」


「え?本当ですか?いや、あの、本当にすいま…」


「ぷっ…あははは」


太田さんは、落胆したような表情をしていたのに、急に笑い出した…


え?


「いや、ご、ごめん。
大丈夫、全然気にしてないから」


「え?騙したんですか?もう…」


「あははは」


「でも、よかった怒ってなくて」


「お互い様だね」


「え?」


「この前俺も、のっぽさんに謝ったし」


「本当ですね」


「もしかして、それを、言うためにわざわざ、来てくれたの?」


「はい。早く言わないとって、太田さんが、また図書館に来る保証もないし…」


「そうなんだ、気遣わしちゃっな…」


「いえ、私が悪いので…」


「電車で来たの?」


「はい」


「最寄り駅同じだから、一緒に帰ろうか?」


「あ、はい」



< 59 / 145 >

この作品をシェア

pagetop