図書館からはじまる



翌週の金曜日。


また、いつもの時間に図書館に行く。


「今日は出勤してるんですが、事務所で仕事しています」


櫻子さんが教えてくれた。


「そっか…元気なんだよな?」


「ええ、とても」


今日もダメか…


保から着信が鳴った。


『宗輔、飲みに行かないか?』


『ああ』


『どこにいる?』


『図書館に…』


『そっか、俺は、昼間に行ったからな…俺、今職場だから駅で待ち会わすか?』


『おう、わかった』


保と合流し、この前の飲みに行ったBARに行くことになった。


「そうだ、二ヶ月前ぐらいにさ、ここで奈月に会ったよな…」


奈月は、保と俺の高校時代の同級生。


二ヶ月前にたまたま、ここのBARで会った。


「男といたな。あれ彼氏だったの?」


「そう、そいつ!奈月、そいつに詐欺にあったらしいよ」


「まじで?!」


「ああ、150万ぐらい取られて逃げたって」


「なんだそら…」


「初めは、少ない金額から貸して欲しいって言うんだって、しかも、自分の母親がガンでその手術代が足りないって言うらしい」


「そんなこと本当にあるんだな。それにしても、母親使うなんて最低だ…」


「被害届出したらしいけど、まだ捕まってないらしい!もしかしたら、また、詐欺に合ってる人いるかも」


「奈月は大丈夫なのか?」


「元気だったよ。この前偶然にうちの歯医者に来てた」


「そっか」


「宗輔にも会いたがってたけどな!」


「そっか」


奈月は、高校の時、告白されたことがある。


その時は、別に彼女がいたから、断った。


ちなみに付き合う前に断ったことは何度がある。


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