秘密が始まっちゃいました。
誓いのキスも指輪交換も、荒神さんを気にしているうちに終わってしまった。

あーもう、私の感動を返せ!


挙式を終え、披露宴会場に移動しても、私のヒヤヒヤは続いた。

席次は私のテーブルと荒神さんのテーブルは隣同士。
わざわざ瑠璃に根回しして、荒神さんの表情が確認しやすい位置にしてもらった。


もちろん、瑠璃に本当のことは言っていない。
「何しだすかわからないから、見張っておく」というのが名目だ。


荒神さんのスピーチは前半。
お酒が回る前にという配慮らしいけど、これは助かった。
お酒に弱い人じゃないけれど、後半の方が感動ポイントは多い。スピーチには危険だ。

一販課の余興が後半にあるけれど、これは愉快なものらしく安心している。


「新郎新婦の入場です!」


司会の女性が言い、瑠璃と福谷が並んで入場。

瑠璃はティアラにAラインのウエディングドレス。
ラウンド型のブーケを持ち、幸せそうに微笑んでいる。
福谷は緊張で固い顔だ。

乾杯で披露宴がスタートする。

美味しいお料理、列席者の笑顔、事あるごとに顔を見合わせ微笑み合う新郎新婦。
なごやかであたたかいお式だ。
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