秘密が始まっちゃいました。
今日は風が強かったけれど、海上は余計冷たい風が吹き荒れていた。
すでに10月だ。夜風は冷たい。
日中はまだ暑い日が多く、私は薄手のカーディガンしか持っていないことを後悔した。

手すりにつかまる。
広い海原とお台場の風景。寒いけど、すっごく綺麗。

ばさっと背中にかけられたのは、荒神さんのジャケットだ。
私は慌てて横の彼を見上げる。


「大丈夫ですってば!」


「はいはい、強がらないの。準備させずに連れてきちゃったの俺だし、今はコレ羽織っといて」


私は赤くなる頬をこっそり押さえた。彼の優しさが嬉しいのと、ジャケットから香る荒神さんの香りにドキドキが加速する。



「望月、ホントありがとうな!」


風に負けないように荒神さんが言った。
声を張り上げなくても会話できるように、私は荒神さんの隣に寄り添うように近付いた。


「何にもしてませんよ」


「望月のおかげでどうにか福谷の結婚式を乗り切れた。特訓は役に立たなかったっぽいけど」


「あー、それはホントに」


私たちは顔を見合わせて苦笑した。
< 140 / 354 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop