秘密が始まっちゃいました。
「あー、何年か前に採用した、羽田電子のお嬢さんかな?荒神と付き合ってるのかねぇ」


「さ……さぁ」


社長の邪気のない問いに、私の心臓は嫌な音をたてるばかりだ。

二人は私と社長には気づかず、お店の食品サンプルを見ながら楽しそうに話している様子だ。

荒神さん、全然嫌そうじゃない。
羽田さんにくっつかれて、大きな胸を押し当てられて、まんざらでもなさそうじゃん。

なんだよ、年下で眼中にない的なこと言っといて。
たった2日で篭絡されちゃったってか?
もしかして、もう付き合う話が進んじゃってたりします?

なんだよ、なんだよ。
別に私が文句言う筋合いゼロだけど、なんだか無性に気にくわない。
ムカムカする!

せっかくのパーティーがたいして楽しくなかったことは言うまでもない。




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