秘密が始まっちゃいました。
「信じらんない気持ちがわかる。私も最初は悪い冗談だと思ったもん」


……瑠璃に荒神さんのことを話す。


今日の今日まで、そのことを私は躊躇っていた。

今まで彼のために必死に守ってきた秘密を、私の一存で誰かに公表するのだから。
荒神さんに悪いとは思う。私を信頼してくれているのに。

でも、私ひとりじゃもう抱えきれないのも本音だった。

私はたぶん、今までの恋愛で一番悩んでいる。
恋なのか、独占欲なのか、母性なのか。
このわけのわからない感情について、誰かの冷静な意見を聞きたかった。


そして、本件に関し、親友の瑠璃を騙す形でいるのもまた忍びなかった。
荒神さんの策略で、表向き交際中の私たち。
何も知らない瑠璃が、無邪気に私たちを祝福してくれる度、胸が痛んでいた。


瑠璃は軽そうに見えるけれど賢明な女子だ。
私の話すトップシークレットは、恐らく福谷にも話すことなくお墓に持っていってくれるだろう。


だから意を決して、今日その秘密を相談したんだけど……。
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