秘密が始まっちゃいました。
庭園を一周する前に、探し人の後ろ姿は見つかった。


「荒神さんッ!!」


チャペル横、人工の小さな滝の傍に荒神さんがいた。


「日冴……?」


荒神さんがゆるゆると振り向く。
髪を振り乱し、振袖の裾に土埃をつけ、必死の形相で走ってきた私を、信じられないという表情で見つめる。


「何やってんだ……」


「それはこっちのセリフです!」


距離数メートル、私たちは向かい合う。

荒神さんの目はたった今まで泣いていたかのように赤い。
私があげた伊達メガネを持ってくればよかったのに。


「好きな女のお見合いに追いかけて来ておいて、全然乱入する気配がないじゃないですか。てっきり、さらいに来てくれたのかと思いましたよ」


私の言葉に荒神さんが首を横に振る。


「そんなことしたら、おまえの立場がないじゃん」

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