秘密が始まっちゃいました。
「そうだな。平日夜だけど、一応な。上映時間も調べてなかったし」


相変わらず呑気な荒神さん。
私はプリントアウトした紙をぺらっと見せる。


「上映時間なら、調べておきました。今日見る予定の『アダージョ』と『君と僕の真実』は上映館も違いますし、微妙に時間の繋ぎが悪いので、日を改めませんか?代わりにレイトショーで『涙のフラグメント』をやってるので、そっちはどうですか?」


「マジで!?わかった、そうしよう!調べてくれて、ありがとな、望月!」


荒神さんは映画の上映時間のプリントを見て、無邪気に喜んでいる。

当然でしょ?映画に行くなら。
行き当たりばったりで、目当てのものが見られなかったら最悪じゃん。
事前準備は大事なんだから。

……でも、私のこういう生真面目さが、周りを息苦しくさせてたりするのかも。
前の年下彼氏も言ってた。
『日冴の当たり前が俺には当たり前じゃないんだよ』
彼も私の性格が面倒で、離れて行ったのかな。

< 72 / 354 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop