秘密が始まっちゃいました。
「さっすが、望月。おまえの頼りになるとこ大好き」


荒神さんが気安く肩を組んでくるので、私はペチンと彼の手を叩き落とした。


「軽々しく、くっつかない!」


女子に好かれてるからって、私にも好かれてると思ったら、大間違いだぞ!


私たちは複合ビルの最上階のシアターでチケットを取り、ビル内のお寿司屋さんに入る。

潰す時間は40分ほど。
お寿司ならすぐ出てくるしね。
今日も荒神さんがおごると言ってくれるのは、なんだか悪い気がするけれど。

ま、いっか。
映画チケットは自分の分を出してるし、付き合ってあげてるんだから、このくらい甘えちゃおう。


「念のため聞くんですけど」


カウンター席で、おまかせ握りセットをつまみながら、私は荒神さんの顔を見る。


「荒神さん、お付き合いされてる女性はいませんよね」
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