EXCAS
「ってショウ!? なんで、どうして、そんな格好している!」
『そんな事はこっちが聞きたいね。だが、戦える。手助けしてやろう』
「有難いけど、いや、だからどうして!」
『うるさい奴だ。お前に死なれたら困る。だからここにいる。嫌なら帰るぞ』
 拗ねた物言いだった。あまりにも聞き慣れすぎて、何年も年取ったように感じる。
 この荒れた戦場で、それは嬉しいという感情以外の何物でもなかった。
 例えどんな問題が起きていても、例え夢みたいな奇跡が起きても、友達が助けてくれた事実に変わりはないのだから。
「……悪い。母艦まで戻るから、援護してくれるか?」
『全く、素直にそう言えばいい。これで、貸し一つだな』
 苦笑しながら、こっちだと先導して動く。
 ショウは機体の肩に止まり、斬馬刀を背に大人しくしていた。
 友人を助けに来た、その気持ちに偽りはない。そのために命をチップに賭け事をしたと割り切れ。
 そこまで快楽主義ではないが、臆病に逃げなかった。
 だから今だけ、疲れた溜息を吐く。
 支離滅裂に混乱した思考を続けないために。
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