EXCAS
 故に、しかし、彼一人では戦えない。
 故に、しかし、彼女一人では力不足。
「運命共同体って奴かな。君が、あいつらに狙われる以上は」
「だとしたら巻き込んで申し訳ないよ」
「気にするな、といっても無理か。だったら、そうだな」
 落ち込んだまま顔を見せない。その様が年相応以下に見せ、思わず頭を撫でていた。驚いた様子ではあったが、すぐに眠たそうに目を閉じた。
 突発的な行動は好きじゃない、と。
 気づかれないよう呟いた。
 だが同時に、元気が出るならそれでいい、と思っていた。
「気にするなら、気負わないでくれ。遠慮をするな、俺たちは、そうだな」
「友達同士? そう、考えていいのかな」
「ああ、俺が言い出した事だ。これで、俺たちは友達だ」
 綺麗な事、それを言うのは苦手だった。
 一言、友達だという言葉さえ口にするのが恥ずかしかった。照れ屋にしては些か過剰。
 隣で眠る少女が身動ぎした。
 もうすぐ起きるのか、と覗き込むものの、単に寝苦しかっただけのよう。
 平和に、静かに、少女は夢の中で笑っていた。
「このまま、しばらく穏やかで、あってほしいな」
 心から同意する。
 それが、長くはないと知りながら。
< 68 / 493 >

この作品をシェア

pagetop