マー君２（原作）

職員室では教師達が各々のデスクにつき、次の授業の準備をしている。

教師達のデスクは向かい合うようにデスクが並び、それが一定の間隔を空けて、四列に並んでいる。

柳橋のデスクは窓辺近くにあり、一樹は窓のすぐ側に立っていた。

一樹は外から陽射しを浴びながらぼうと外の校庭ではしゃいでいる生徒達を眺めていた。

しかし、柳橋は気付かず一人頷きながら話し続けた。

「一樹お前がなぜサボりがちかはわかっている。確かに−−この学校はお前が望んだ学校ではない。

うん、辛いのはわかる。実力はあるのに行けないのは。だからこそ頑張っていい高校に行って−−」

やはりこの人間は何もわかっていない。

結局、人はいくら努力しても他人を理解することはできないのだ。

俺の親父のように。

理解しよう−−そんな偽善者ぶった所で理解できるはずがないのだ。

人間は自分のことしか考えない、醜い生き物なのだから。

だから、俺は−−。

人間が嫌いだ。

人間である俺自信も。

「先生？」

「ん？」

一樹は柳橋を冷酷な目で見下ろし、静かに口を開いた。

「先生は俺の何を理解してるんです？」

「何をって、それはお前が悩んでるから−−」