おかあさんになりたい。 ~天使がくれたタカラモノ~
退院の日。


確認の診察も終えて、あの子を待った。



火葬のため、出された赤ちゃんを小さな箱に入れて渡される。
それを持って明日は斎場へ送りに行くから。







やっと……

やっとのことで………

やっとあの子を抱いてあげられる。



小さな箱に入ってたって構わない。
もう心臓も動いてないし、暖かくもないだろうし…




でも、

やっとのことでパパとママのところに来られるんだよ。





あの子の心臓が始まった時に、きっと望んでいたはずのあの子の願い。




あの子の名を呼んで…
あの子の誕生を喜びながらパパとママ、二人であの子を抱いてあげたい。




「パパとママのところに来てくれてありがとう」って。





コンコン………



ノックの音。



「山本さん…入りますよ。」


看護婦長さんの声だった。





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