おかあさんになりたい。 ~天使がくれたタカラモノ~
帰り道。


鞄に入れたあなたを大切にしながら片足で靴を履く。

鞄が背中にのっかって、まるでおんぶしてるみたい。



動きを止めて……

つかの間のおんぶをしてあげる。




これが、おんぶだよって。


悲しいおんぶだけど、自然と顔は柔らかくなった。



タクシーではお膝にあなたを乗せてあげて。





あなたにパパとママの愛を伝えたくて。
できることはなんでもしてあげた。









手紙をかいた。

ママとパパの写真も用意した。
今度くる時に迷子にならないように。

あなたにあげたかった服やくつはないから、私が昔編んだ毛糸のコースターをお布団に、見立ててタオルと一緒にくるんだ。




3人で過ごす最初で最後の夜。




朝にならないで欲しい。



朝陽よ、のぼらないで。




願いは空しく、夜があける。
眠れない日は何日目?



睡眠もとれず、食事もろくにとれない。
さすがに体力の限界がきて、フラフラの体。



それでも、あの子を送ってあげなくちゃ。
最後まで見ててあげなくちゃ


その気持ちだけが私の体を動かした。
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