おかあさんになりたい。 ~天使がくれたタカラモノ~
「これ、麻那にあげるから。」



それを抱えたお母さんの手から見えたのはキラキラ輝くような大きな花。




「すごい…綺麗………」





それは大きな胡蝶蘭の鉢植えだった。


抱えて持たなければならないくらい大きくて立派な姿。

鈴なりに咲いている大きな華は、白くて澄んだ色をしていて。

凛とした美しさって言葉がよく合い、しばらく見とれてしまった。





「これ……どうしたの?」




驚く私にお母さんはこう言った。




「胡蝶蘭の花言葉はね、【幸せが舞い降りる】っていうんだって。幸せが早くくるようにね。おうちに置いておきなさい。」





幸せが…舞い降りる…





良い花言葉。





花好きなお母さんならではの素敵な贈り物。





立派な胡蝶蘭はすごく嬉しいけど、その花言葉を贈ってくれたのが一番嬉しい。





私もお母さんみたいな、素敵な「おかあさん」になりたい。




おかあさんになって、そっと…
気付かないうちにそっと寄り添ってる。

気付いたら暖かかったことに気づくような、

そんなおかあさんになりたい。








「ありがと。枯らせないように頑張る。」



照れくさくてそんな言葉しか言えなくて…




でも嬉しさを伝えたかったから帰ってからメールした。



【お母さんのお花のおかげで本当に幸せがふってきそうだよ。ありがとう。】







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