おかあさんになりたい。 ~天使がくれたタカラモノ~
【麻那、私はいつまでも待とうと思ったけど…このままは嫌だよ。麻那とこのまま終わってしまうのは嫌だよ。】



花菜が送ってくれた文面をボゥーッと読んでいた私は、ある文で目を見開いた。



【みんな心配してるよ。○も○ちゃんも。麻那はそれでいいの?みんなに心配されたまま、ガラスを扱うような扱いをされたいの?】




え…?




みんな……とっくに私のことなんて気にしてないと…






そこには妊娠報告をして…流産のことも伝えた友人たちの名があった。

みんな気遣って、メールをくれて。

外にも何度か連れ出してくれた。

未婚の子ばかりだったから気が楽で。みんなと学生の時みたいに何にもかも忘れて騒いだな。





みんな……
流産のことに触れないのは未婚だから…
辛さとかわからないんだと思ってた。



みんな……もしかして…あえて触れなかったの…?




【みんなも初めてのことだから、どうしたらいいかって。どうしたら麻那は元気になるかって話したみたいだよ。
でも…みんなもそのまま止まってる。麻那と一緒に。麻那は…今どうしてる?】





私は…
友達なんて…その場だけ楽しければいいんだって…
そんなひどいこと考えてたのに…



みんなは…



みんなは私のいないとこでも私のために考えてくれたの…?



あんなに騒いで遊んだのも……私のため?

私が…辛くないように…?
私が…元気になるように…?
私が…



「ひっく…………ぅ」



一筋伝う、暖かい雫。
ひさしぶりの涙。




悲しい涙じゃなくて…



優しい涙。



あったかい…





忘れてた…


ずっと忘れてたよ、寒くて冷たくて。



この世界には
暖かい涙があるってこと。








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