おかあさんになりたい。 ~天使がくれたタカラモノ~
「あ………」



花菜の声を聞いたのは何ヵ月ぶりだろう。


乾き始めた頬の筋の上に、また涙が流れたのを感じながら…私は考えた。



何を…話したくてかけたんだろう。



【麻那?びっくりしたよ。ひさしぶりだね。】



変わらない……。



変わらない、花菜の声。



「うん…ひさしぶりだね。」




私は…上手くしゃべれてる?




「あの……ごめん…急にかけて……」




【なんで?いつものことでしょ。元気にしてる?】




いつものこと…



そうだよ…


私たち、いつもこんな風に長電話して、陽に飽きれられて……



ずっと…そうしてたのに…




いつから変わっちゃったの…?




「花菜……私、花菜の声聞いたら泣きそうで…泣いて収集つかなくなりそうで…だから…」



もう泣いてるくせに。
って私は自分にツッコミを入れながら話す。



【私はそれが聞きたかったの。泣きそうだから待ってて。ってずっと麻那言ってたよね。それは違うでしょ。】



花菜はいつもの怒ってる口調なのに優しい言葉を返してくる。



【麻那は言いたいことたくさんあるはずだよ。いつまで良い子ぶってんのよ。麻那にもあるでしょ、汚い気持ち。】



「私は良い子ぶってなんか………」




花菜にいきなり図星をつかれて、思わず声を荒げる。



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