おかあさんになりたい。 ~天使がくれたタカラモノ~
見えてきた未来
「ねぇねぇ、花菜…わたしさ妊娠したかも…」


嬉しい気持ちと初めての出来事にその日の夜、親友に電話をかけた。


「本当に?おめでとう!!すごいじゃない!」


かつての私がそうしたように今度は花菜が自分のことのように祝ってくれる。


花菜はあれから保育士の激務を続けながらも無事に妊娠生活を送り、帝王切開で出産をしていた。
まだ出産してから2ヶ月もたっていない頃、子育ての間をぬって私の相談にのってくれた。


「陽くんには報告したの?絶対喜んだでしょ~?」

「ううん、まだ言えてなくて、てゆうかいつ言えばいいんだろ…」

「ま~た、麻那ったら~」

呆れるような笑い声が電話から聞こえる。

花菜のあの笑い声は安心する。
私をしょうがないな~ってお姉さんみたいに見守るような声。

何かあると相談するのはいつも花菜だった。
泣きながら話した夜も、ケンカしながら電話をきった日もあった。



聞き慣れた声に嬉しさと一緒に初めて感じる不安や緊張とかも感じていた私の体はフワっと気が抜けた気がした。


「うん。明日…言ってみようかな」

「そうだよー。私に先に報告したって聞いたらがっかりしちゃうよ。」

「うん。ありがと。」

「早めに病院行った方がいいよ。行くときはスカートとかで………」


世話焼きな花菜は病院でやる検査とか、持っていく物とかたくさん話してくれていた。


これから生活がガラッと変わっていくんだな…


花菜の話をうん、うんって聞きながら、押し寄せる優しい気持ちと少しばかりの不安の波に揺られてた。



私……おかあさんになれるのかな…?

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