おかあさんになりたい。 ~天使がくれたタカラモノ~


「もしもし?お母さん?」


つわりの調子が良い日の夜、お母さんに電話をかけた。
お母さんからは2週間に1度は用事もないのに電話がかかってきていたので久しぶりというわけではなかった。


かかってきては数分で切る電話。


お父さんは介護で田舎に帰ったし、妹も結婚して家を出ている。
賑やかだった5人家族の実家には、家を空けがちの弟しか一緒に住んでない。


もしもし。なにしてるの?


ってかかってくる電話は寂しさもちょっぴりあるのかもしれない。



年子3人を育ててきた強くてちょっとコワかったお母さんは、そんなこと言ったら
「ちがうよ!」
って怒りそうだけど。


「麻那?何。元気にしてるの?」



ああ。
やっぱり安心するな………



声を聞きながら目まぐるしく変わる状況に呼吸困難ぎみだった私の胸は大きく空気を取り入れた。



「うちのベランダの朝顔がきれいに咲いたんだよ。もうすぐユリも咲きそうで………」


すぐに大好きなガーデニングの話を始めるお母さん。



私が話あるから電話したのに。

呆れながらもあったかい気持ちで耳を傾ける。



「お母さん。それで報告があんの!」

「ん?何だい。」



栃木出身のお母さんの懐かしい鈍りに私まで口調が子どもの頃に戻る。




「あのさ。子どもできたの。わたし。」
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