おかあさんになりたい。 ~天使がくれたタカラモノ~
「何?そんなに悩んでたの?」

あの後すぐに陰性が出た安心感からか無事に生理がきていた。
後日、私は悩みの元凶でもある彼氏、陽に初めての妊娠検査薬の経験を話していた。

「だって、陽ったら前なんとなく妊娠の話したら困るって言ってたじゃん。」
「そりゃ、今妊娠しちゃうとお互いちょっと大変かもだけどさ…」

口ごもる彼氏に少しだけ幻滅する

結果的には良かったけど、もう少し言い方あるんじゃないの!?

言いたい言葉を飲み込んで変わりに前から考えていた決意を放つ。

「もう、こんな悩むのやだから私、ピル飲むから」


どちらにしろ、今妊娠することは望んでいなかった私はこの機会に避妊についていろいろと調べていた。

その中から生理痛が軽減できるうえ確実と言われてるピルに興味がわいた。
コンドームに嫌悪感があるのと、一番の理由は例の少女漫画の主人公がピルを飲んでいることからだった。

ピルにより避妊に成功し、ここから3年もの間妊娠から遠ざかることになってしまう。
ピルによって簡単に避妊できるように、妊娠することも簡単に思えてしまった。


当たり前に仕事をして、
当たり前に結婚をして、
当たり前に子どもを産む。


彼氏はいるけど将来を誓ったわけでもないし、自分はいたって健康、夢も追いかけている途中。
妊娠を急ぐ理由なんてこれっぽっちも持っていなかった。


それはそれで間違いないじゃない。
でも、私はその時の私に言いたい。
人生は思ってる程簡単じゃないよって。
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