おかあさんになりたい。 ~天使がくれたタカラモノ~
別室で電話をしていた私のもとに、陽が様子を見にきた。


「うん…。」



こんなイヤな女の部分……
陽には見せたくないな。



「俺も暇だからいろいろ調べてたらさ。はるちゃんさ、もう歯とか爪までできてるらしいね。」


「え?」


陽はキラキラした顔で私にそう言った。

まるで覚えたての言葉を得意気に聞かせる子どもみたいに。



陽の手を見ると妹からお祝いに送られてきたマタニティダイアリーを持っていた。

日記として使えるのはもちろん、1日、1日の赤ちゃんの成長のことが書いてある大きな本。

送られてきたのを見せた時はあんまり興味ないように「ふーん」としか言わなかったくせに。




「今、確か10週だったろ?すごいよな、もうそんな育ってんだよ?お腹の中なのに。」



「うん。」


「もう動けるんだってさ!」


名前を決めたり、病院を決めたり、赤ちゃんの話を切り出すのはいつも私だった。


でも、今日は陽から話してくれた。


陽もちゃんと赤ちゃんを感じてくれてる。




花菜に赤ちゃん信じるから!
…なんて言っておきながら一番信じてないのは私じゃん。




「はるちゃん、毎日大きくなってるんだもんね。私もがんばらなきゃ。」


「俺も仕事がんばらなきゃな。」




信じなきゃ。



今、確かにここにいてくれてる、赤ちゃんを。
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