おかあさんになりたい。 ~天使がくれたタカラモノ~
ドクドクドク…ドクドクドク…


大学病院からの帰り道。



赤ちゃんの心臓の音を思いだしていた。

あんなに小さいのに力強い鼓動。


「聞かせてくれてありがと。」


お腹をさすってお礼を言う。


外は相変わらず暑い夏の午後。
帰り道も自宅までは長い道のりが待ってる。



長い道のりだったけど、初めて聞けた鼓動への感動で頭はいっぱいだった。
油断するとすぐに嬉しさで顔がほころぶ。



可愛くて可愛くて仕方ないよ。



陽に早く教えてあげたいな。
私だけ、先に聞いちゃった音だけど。
うらやましがるだろうな~。




嫌だった大学病院への気持ちは心音を聞けたことでちょっとだけ、楽しみになっていた。



また来週、あの音が聞けるかな。

もっと、もっと人らしくなった赤ちゃんを見たい。

ユラユラ動く可愛い仕草を眺めたい。





今日の朝まで不安だった私の心には、希望が覆い尽くしていた。




思い出すたびに切なくなる大切な思い出。


……私はまだ知らない………


【次】なんか無いってこと……


その喜びは…はるちゃんがくれた……最後のプレゼントだってこと。




数えきれない程のプレゼントの中で、
一番最高で、
一番最後の……
一番大切な宝物になった。




ずっと、ずっと胸の中にある「音」。



またいつか聞かせてくれることを願ってます。


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